[典型問題解説]平衡定数の考え方と応用(理論化学)

化学平衡の本質とは

はじめに

こんにちは! ”いと”です!

今回は典型問題解説ということで、理論化学の分野の典型問題である平衡定数の考え方と応用を必要とする問題を解説していきたいと思います!

今回、解説していく問題はこちら!

0.70molの二酸化硫黄、SO2と0.30molの酸素の混合気体を、300K,1.0×10^5(10の5乗)Paで体積一定の密閉容器に入れて600Kに加熱したところ、三酸化硫黄SOが生成して次式のような平衡状態となった。下の各問いに答えよ。

2SO2(気)+O2(気)=2SO(気) (通常の平衡の記号の代わりに=を使いました。)

⑴平衡状態になったとき、三酸化硫黄が0.20mol生じていた。この容器の体積は何Lか。また、この時の容器内の圧力は何Paか。

⑵この反応の平衡定数Kは何L/molか。

⑶容器の体積と温度を変えずに、容器内に酸素を加えたところ、三酸化硫黄の量が0.40molで再び平衡状態になった。加えた酸素の物質量は何molか。

この問題は、化学が得意な受験生にとっては簡単に感じるのですが、化学が苦手な受験生にとっては合否を分ける問題になり得ます!!合格するためには落としてはならない問題の一つです!

ですので、今回も、化学未履修者でもわかるくらいに簡単にわかりやすく解説していこうと思います!ぜひ最後までご覧ください!

解説の前に一つ

みなさん問題はしっかり読みましたか?

少しでも不安がある人はもう一度読みましょう!

私は、化学の力の半分は読解力で決まると思っています。というのも、化学が苦手という人ほど問題文をしっかり読めていません。まずは問題文をしっかり頭の中に入れて、状況を頭の中でイメージする。ここから始めましょう!

化学は問題の性質上、1語の読み飛ばしが全体のミスにつながってしまうことが多いです。いわゆる雪崩が多発します。本番での雪崩はほとんど死を意味しますので、注意しましょう!

⑴の解説(反応の移り変わりを押さえよう!)

ということで、実際に問題の解説に入っていきます!

まずは⑴の体積と圧力を求める問題です。

状態方程式(PV=nRT)を使いたいところですが、平衡時の混合気体の物質量がわかりません。

ということで、一番に取り掛かるべきなのは反応の移り変わりを押さえることです。

具体的に何をするのかというと、反応によるそれぞれの気体(二酸化硫黄酸素三酸化硫黄)の変化量を捉えましょう。

問題文中の「三酸化硫黄が0.20mol生じていた」という記述から三酸化硫黄の変化量は+0.20molであることは明らかです。

ということで残りの酸素二酸化硫黄の変化量は、それぞれ化学反応式2SO2(気)+O2(気)=2SO(気)の係数の関係から、それぞれ三酸化硫黄の1/2倍と1倍になることがわかりますので、酸素の変化量は−0.10mol、二酸化硫黄の変化量は−0.20molです。

表にまとめると、こんな感じですね。

二酸化硫黄酸素三酸化硫黄合計
はじめ0.70.301.0
変化量−0.20−0.10+0.20
平衡時0.50.20.20.9

ということで、平衡時の混合気体の物質量がわかりましたので、はじめと平衡時で状態方程式を作ればゴールは目前ですね。

はじめ (1.0×10^5)×V=1.00×(8.3×10^3)×300・・・①

平衡時  P×V=0.9×(8.3×10^3)×600・・・②

これらを解けば、V=24.9L  P=1.80×10^5 と答えが出ました!

中級者向けもっと早い解き方

上の解説では体積と圧力を同時に求めましたが、実際は体積は反応を見ずとも初期条件で解けるということは①式から明確だと思います。

となると、残りはPですが、これに関しても定積条件下での圧力と温度と物質量の関係を使い、反応前後で物質量が0.9倍、気温が2倍になったことを考えれば、

P=1.0×10^5×0.9×2=1.8×10^5

という簡単な式で求めることができます。

やっていることは同じですが、計算がとても楽になりますよね。

⑵の解説 定義に当てはめるだけの簡単作業

⑵平衡定数Kを求める問題です。ただ平衡定数の定義である

平衡状態の数式

の平衡状態にあるとき、平衡定数Kは

平衡定数Kの数式

と表される。([x]はxの濃度を表す)

を知っていれば、

2SO2(気)+O2(気)=2SO(気)より

K=[SO]^2/[SO2]^2[O2]=0.8×V=19.9(mol/l)

今回の問題では単位が問題文中にありましたが、ないときもあります。

その時だけ、平衡定数Kの単位には注意しましょう。定義からわかる通り、Kの単位はmol/lだけでなく、l/mol、(mol/l)^2などになることもあり得ます。

⑶の解説 平衡定数は温度によって決まる!

⑶は一見難しそうですが、実際には平衡定数が温度によって決まることさえわかっていれば、もう他に新しいことは何もしなくてもできる問題です。

まずは、求めたい新たに加えた酸素の量をx(mol)としてから、⑴と同様に三酸化硫黄の変化量から二酸化硫黄酸素の変化量を求めて表を作ります。

二酸化硫黄酸素三酸化硫黄
はじめ0.500.20+x0.20
変化量−0.20−0.100.20
平衡時0.300.10+x0.40

こんな感じになりますね!

そしてこの後に平衡定数が温度によって決まることを使います。

平衡定数が温度によってきまるということは、温度が不変なら平衡定数も不変であると言い換えることができます。

そして、⑶の問題文中に「容器の体積と温度を変えずに」という文言があるのでもちろん平衡定数Kは⑵で求めた19.9(mol/l)から変化しません。

あとは、表で求めた、各気体の物質量から濃度を求めて(体積も不変です)、

[SO]^2/[SO2]^2[O2]=19.9に代入するだけですね。

ちなみに、体積も不変なので、上の19.9は⑴の計算途中の0.8Vと表記した方が計算は速くなりますよ!

計算するとx=2.21(mol)が求められます!

最後に

どうでしたか?意外と簡単だなと思った方も多いと思います。

しかし、この類題が中堅国公立やMARCHでは頻出であり、合否を分ける問題になっています。

ですので、きちんと復習し自分のものにしてくださいね!

では、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 


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