[2020年]大学入学共通テストの意外と知られていない問題点とは?(前編)

大学入試共通テストの問題点

はじめに

みなさんこんにちは!いと(@StudyRoad)です!

今回は2020年度から「センター試験」に代わって始まる、「大学入試共通テスト(共通テスト)」についての記事です。

皆さんはこの「共通テスト」にどのような印象を持っていますか?

くま
くま

とりあえず今までのセンター試験よりは良くなるんでしょ?

これまでのマーク式だけの問題に記述式の問題が追加されるんだよ!

 

一般的に、「共通テスト」は記述式の問題を含むということもあり、「今までの暗記頼りの受験から、思考力重視の受験に変わる。」というように認知されているかと思います。

しかし、これは「共通テスト」の良いところを切り取っただけに過ぎません。

実はこの「共通テスト」は多くの問題点を抱えているのです。

その証拠に、記事の後半にも載せますが、2017年の調査では約90%の大学が「共通テスト」の利用を考えていたのにも関わらず、最新の2018年の調査ではその割合は70%にまで減少しているのです。(朝日新聞と河合塾の共同調査より)

利用大学が減ってしまうほどの問題点とは一体なんなのか。それについて書いていきたいと思います。

問題点①下位層に差がつきにくい

どんな試験であっても、目的は受験生の間に「差をつけること」です。それが出来ないのは大問題ですよね。

しかし、問題の本質はその「差のつき方」にあります。

それについて解説していくために、まずは「難易度と差のつき方」について考えていきましょう。

難易度と差のつき方

一般的に、試験の難易度が高いと、点数が低い人が多くなってしまい、下位層に多くの受験生が入ってしまうことになります。

逆に試験の難易度が低い場合は、満点近くを取る人が増えてしまい上位層に多くの受験生が入ってしまうことになります。

従来のセンター試験では、後者の状況に近かったと思います。しかし、そこが問題点としてあげられることはありませんでした。

では、前者の状況が予想される「共通テスト」では何が問題なのでしょうか?

問題の本質

当たり前ですが、記述式の問題はマーク式よりも難易度ははるかに高いです。(昨年度から行われている「共通テスト」の試行では科目によっては正答率が1%以下の問題もあったそうです。)

そのため、上で述べたように下位層の密度が大きくなってしまいます。

難易度と受験生の分布

実は、問題の本質はこの「下位層の密度の肥大化」がこれまでの大学入試の仕組みに噛み合っていないことにあるのです。

これが、どういう意味なのかを解説していきます。

これまでのセンター試験では難易度が比較的低いため、主に中堅クラス以下の大学を目指す受験生の間に差をつけることに大きく貢献してきました。受験生の大半はここに分類されるので、そういう意味では、センター試験は有効にはたらいていたと思います。

確かに、一部の難関大学の受験生の間では差がつきにくかったものの、各大学の二次試験で差をつけることで、入学者の選別を行なうことが出来ていました。

しかし、「共通テスト」が始まるとどうでしょうか?

ここまで、読んでいる方ならもうわかったと思いますが、中堅大学の受験生の間に差がつかなくなります。多くの受験生に差がつかず、二次試験勝負になったとしても、二次試験の難易度を大きく下げない限り、そこでも差はつかないでしょう。

差がつきにくい受験というのは必然的に「運」の要素が大きくなりますので、ここに分類される受験生の合否に「運」の要素が大きくなるという事態が起きます。公平性に欠けるとも言えます。

難関校の受験生の間には、今まで以上に差ができ、今までのような「二次試験頼み」は無くなるかもしれませんが、こちらに当てはまる受験生は全体から見れば少数です。

まとめると、今までの「センター試験」よりも難易度の高い「共通テスト」の導入は多くの受験生にとっての受験の「運」の要素が増えてしまい、公平性を失ってしまう可能性があるのです。

問題点②採点

第2の問題は「採点」に関する問題です。

「共通テスト」はこれまでの暗記型の受験からの脱却を目指して、記述式の問題を中心としています。

皆さんは、「マーク式」と「記述式」ではどちらの方が採点しにくいと思いますか?

どう考えても「記述式」ですよね。

採点のしやすさというのは、主に「採点基準が明確か」「採点にかかる時間」の二つの要因によって決まると思いますが、どちらに関しても明らかに記述式の方が不利なのは明らかです。

不明瞭な採点基準

受験にはそれぞれの学生の人生がかかっていると言っても過言ではありません。

そんな人生を賭けた大一番を曖昧な採点によって台無しにされたら、たまったもんじゃないですよね。

公式の発表では、採点の公平性には十分に考慮するそうですが、国語や英語などの科目では100%主観を除き、誰が採点しても同じ点になるような採点をすることは現実的ではありません。

だからと言って、その都度相談をしたり、一人に50万人分の採点は任せたりしていたら、その年が終わってしまうでしょう。(東京オリンピックのように善良な国民をタダで使うこともできないでしょうし。)

採点にかかる時間

上の採点基準の曖昧さと合わせて、問題になるのが「採点にかかる時間」です。

これまでのセンター試験ではマークシートを機械に読ませればあっという間に採点ができていました。

しかし、現段階では、字は受験生によって様々ですし、採点の基準を機械に任せるほど機械の文章の理解が正確でないことは明らかですから、記述式の採点を機械に任せるのは向こうしばらくは不可能でしょう。

大学の合格発表は遅くても3月下旬ですから、かけることができる「採点時間」は約2ヶ月ほどですから、時間短縮は必須と言えるでしょう。

以上のように、「採点基準」と「採点時間」の問題を解決するのかが共通テストの大きな課題になっています。

残りは後編で

長くなってしまったので、残りの問題点については後編で書いていきたいと思います。

後編では共通テストの問題点の他にも、朝日新聞と河合塾が全国の大学を対象に行ったアンケートの結果についても解説していきたいと思いますので、ぜひご覧ください!

後編はこちらから!

[2020年]大学入学共通テストの隠されし問題点とは?(後編)
今回は前編に引き続き、2020年に「センター試験」に代わって開始される「大学入試共通テスト」の以外と知られていない問題点を皆さんに教えたいと思います。その問題点に加えて、朝日新聞と河合塾が共同に行った調査の結果についても考察していますので、ぜひご覧ください!

 


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