はじめに
みなさんこんにちは。いと(@StudyRoad)です!
今回は開催を2年後に控えた「東京五輪」の開催費用の問題についてできるだけ簡潔にわかりやすく解説していきたいと思います。

開催費用なんて俺たちには関係ないじゃん!
そう考えている人は非常に多いと思います。
しかし、その開催費用の半分以上は私たちの税金から出ています。
さらに、この開催費用の問題を知ることで最近話題の「無償ボランティア」に対する見方も変わってくると思います。
「無償ボランティア」は我々学生にも大きく関係してくることですので、まずこの記事で開催費用について理解してから、「無償ボランティア」についての記事を読んでいただき、自分がこのボランティアに参加すべきなのかをよく考えていただければと思います。
当初の予算とその推移
予算3兆円は嘘?
みなさんは東京五輪が決まって少し経ったくらいから、メディアで「予算の増大」が取り上げられていたのは覚えていますか?
特に昼のワイドショーでは組織委員会の森会長や当時都知事であった舛添氏を非難する内容が続いていました。(2014年〜2016年ごろ)
しかし、最近ではもっぱら耳にしなくなりましたよね。なぜでしょう?
それを知るためにも、私が調べた範囲での「東京五輪開催費」の予算の推移を見ていきましょう。
簡単にこの図について説明すると、黄色の棒で示された予算は正式な発表で、青色の部分は示された人物の発言から切り取られた予算、つまり正式な発表ではありません。
結局、新聞やテレビで取り上げられていた「予算が◯倍の3兆円に!!」は全く正式ではない情報と言えるようです。
会計検査院から驚きの報告が!?
つい先日の2018年10月4日、会計検査院から驚きの報告書が上がりました。
その報告書の内容は東京五輪の開催費が3兆円をオーバーする可能性があるというものでした。しかも現時点で国は8011億円もの支出をしているとの情報も。(最新の正式発表では国は1500億円の負担のはずでした。)
ということは、上の推移での最新の正式発表である1兆3500億円は嘘だったということでしょうか?
開催予算増大のカラクリ
この会計検査院の報告は、議論の混乱を招きました。だってつい数ヶ月前の発表の2倍以上のお金が使われる可能性があるわけですから。
しかし、ここにはあるカラクリがありました。
実は、この会計検査院が発表した3兆円には、そもそも行政がしなければならないこと(インフラ整備や環境整備など)が含まれていたのです。
例えば、今東京で整備されている道路は五輪予算に組み込まれるのでしょうか?
「元々ボロボロで直さなければいけなかった。」のか、「五輪に向けてより綺麗にしている。」のかなんて、はっきり決まっていないことが多いと思います。
これらを「全部東京五輪のためだ!」と言えば、予算は膨れ上がるでしょうし、「元々、整備しなければいけなかったんだ!」と言えば、予算は抑えることができるでしょう。
この件については、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長が反論しており、現段階ではむしろ予算は削減できているということでした。(201810/8の発表)
(読売新聞より)
過去の五輪との比較
過去5大会の開催費用は?
ここまで、東京五輪のみに着目してきましたが、何兆円、何千億円と言われても私たちには実感しにくいですよね。
ということで、比較して考えられるように他の都市の過去のオリンピックの開催費を見ていきましょう。
こちらです。
開催年 | 大会名 | 開催費 |
2000 | シドニー五輪 | 4000億円 |
2004 | アテネ五輪 | 1兆1100億円 |
2008 | 北京五輪 | 3兆4000億円 |
2012 | ロンドン五輪 | 3兆1700億円 |
2016 | リオ五輪 | 1兆3000億円 |
北京五輪とロンドン五輪の費用の高さが目立ちますね。
これには理由があります。
北京大会とロンドン五輪について
まず、北京大会に関しては、中国の都市である北京は2008年の段階では「都市」と呼べるような状態ではありませんでした。大きな建物や道路は少なかったようです。
そこで、北京はオリンピックに向けて大規模な「都市計画」を立て、都市づくりから始めていきました。そのため、北京五輪の開催費用は3兆4000億円と21世紀最大になってしまいました。
次にロンドン五輪に関してですが、ロンドンはイギリスと首都で、イギリスはヨーロッパの中心国です。
ヨーロッパというのは皆さんも知っている通り、多様な宗教を信仰する多様な民族が住んでおり、未だに摩擦は残っています。またオリンピックは世界中から多くの人々が集まるイベントです。となると危険視しなければならないものがあります。
そう、「テロ」です。
このテロの発生を抑えるために、ロンドン五輪ではテロ予防の策を厳重に何重にも施すことで、大会を無事終えることができました。
この厳重さが開催費の暴騰を招いてしまったのです。
あれ、日本も平均くらい?
過去の大会についてきましたが、ここで日本に視点を戻して考えていきましょう。
日本の開催費は今の所正式発表で1兆3500億円です。少し上がって1兆5000億円程度になったとしても、過去大会と比べると「普通」くらいに感じますよね。
ではなぜ、予算の問題が出てくるのか。
それは当初の東京五輪像とのギャップにありました。
当初は「”エコ”で”コンパクト”な五輪」を目指してた。
誤解する人がいるので言う。2020東京五輪は神宮の国立競技場を改築するがほとんど40年前の五輪施設をそのまま使うので世界一カネのかからない五輪なのです。
— 猪瀬直樹/inosenaoki (@inosenaoki) 2012年7月27日
このツイートからもわかるように、そもそも東京五輪は”エコ”で”コンパクト”な五輪であるはずでした。
しかし、今や新しい競技場をずさんな計画で建てて予算をドブに捨ててしまっています。
ちっとも”エコ”ではありませんね。
オリンピックを開催するメリットって?
そりゃあ、経済効果でしょ!
一般的に知られている常識として、オリンピックはその国に大きな経済効果をもたらすと言われています。停滞する日本の経済が東京オリンピックによって再建されると考えている人も多いでしょう。
しかし、それは本当でしょうか?
では過去オリンピックが開催された国の成長率を見てみましょう。
図は開催前年、開催年、翌年の成長率を示していますが、96年の米国以外では成長率はむしろ低下してしまっています。
1964年の東京五輪の後にも「昭和40年(65年)不況」が起こっています。
直接的に関係しているとは言えませんが、ギリシャも「ギリシャ危機」と呼ばれる財政危機を迎えました。
施設はいつまでも残るし、使えるじゃん!
またいわゆるハード面(競技場などの形に残るもの)の遺産も悲惨な状況になってしまうことも。(”負の遺産”なんて呼ばれたり。)
アテネ大会会場の成れの果てを見てみましょう。
バイオハザードに出てきそうですね。
最後に
今回は日本人なら知っておくべき「東京五輪」の予算問題についてまとめてみました。
調べて感じたこと
これは完全に個人的な意見ですが、日本人は「周りにどうみられるか」をとても気にします。その傾向が海外に国の力を見せることになる”東京オリンピック”に顕著に出てしまったのかもしれません。
もちろん、国際的な日本の評価が上がることは良いことだと思いますが、なんだかオリンピックの熱が昔より冷めているような気もしますし、力を入れるのはここじゃないような気もします…
ということで、最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は「タダ働き?!やりがい搾取?!どうなる東京五輪の無償ボランティア編」です!
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